『死ぬことと生きることと』土門拳

タイトルが大仰でビッグネーム。
近年の再販版で、あとがきの人が微妙に無名で???だったけど、現代でこれ読むということについての話だったんで、たぶん出版当時と全然違う受容してました。昭和の文化人おじさんが文化人らしい本を出した、自身のスランプ時代に写真雑誌にアマチュア評に異常なまでの熱い激励、とか、一歩引いた感想があとがきについてくる。

写真家人生が大変興味深くて、タイトルにもなっている出勤してつまんない仕事して、帰ってきたら子どもが死んでたことで、事実、実物があることについて、VRとかARとかフワフワしてる現代から見ると絶対の確信にたどり着いてる。ように書いてる。当時すでにすでに巨匠なので巨匠らしく書いてる。外行きの文章。職業としても生き方としても、常に自分以外の外の世界があって、しかもアウトプット先が大衆として近くて、作品作るにも写真なんで外側と絶対に関係することからか外側、外側に実物があることと自分との関係とても深く深く結びついたパーソナル。
若いころの演出した写真、意図のある写真を反省したりする中で、写真家の意志とは、被写体にそれを押し付けるのは正しいのか、とか、自分の外側にある物とそれを使った表現について、パワフルおっさんがいろいろいろ教えてくれる。そして、写真家は自分の内面を見る目がないとひらきなおるユーモアで、昭和ア〜っていう。写真も結構入っててよかったです。