『日本の名随筆 祈』石牟礼道子編

公害の認識が始まって、戦争も過去ではない、そんな1970年ころの文章を石牟礼道子が「祈り」をテーマに編んだっていう興味深い本でした。昭和の祈り。
軽〜いネアカなエッセイから、祈りが現われた物について民俗学的な観点や、戦争、故人への祈り、自分のキリスト教信仰、仏教の信仰について、石牟礼道子自身の文章も収録。ねむの木学園の宮城まり子の、亡き母への祈りのような文章には涙がにじむ…。
また、著者紹介が、何をしてこの祈りについて書かせたのかうかがわせる断片で、よかったです。やっぱこのシリーズいいなあ。