『アート オブ JC ライエンデッカー』

1920年代、アメリカの黄金時代のイラストレーター。
ニューイヤーベイビーとか、赤と白のサンタクロースとかフラッパーの絵とか、とにかくアメリカ。
複製しやすい絵を描くこと、誤解なくイメージを届けること、とか、自分の功績についてイラストレーターであることをこれ以上なく言語化してて、ミュシャロートレックと同じ時代のパリで修業した黎明期のイラストレーターなんだけど技術も意義もパーフェクト。

ノーマンロックウェルのほうが有名だけど、そのロックウェルが崇めた憧れたイラストレーター。ロックウェルはライエンデッカーに憧れ、その地位とスタイルを奪って蹴落した側でありながら、葬式に参列したりする愛憎というか愛。40年間というイラストレーターのキャリアの晩年は不遇だったそうです。

アロウカラーマンという、Yシャツの広告の紳士達のイラストレーションも有名。
ロックウェルより、ちょっとセクシーなんですよね。男が。それでどっかで見かけたときから気になっていたんですが、同性愛者だったそうで、男をセクシーに見てて、その倒錯の反動で女性も非常に美しくなり…

画集+かなりの文量ある評伝で、1920年代黄金のアメリカ時代のイメージを描いて作り上げた人で、名士なのでフィッツジェラルドなんかとも交流がある。ギャッツビーそのままに、豪華屋敷でパーティをしても、その中で一人佇み誰も友達がいない…。
シャツが富と紳士のイメージを、ギャッツビーと同じく象徴することが印象的でした。全く同時代でリアル。
借りて読んだんだけどこの本は買おうかなあ。