『フラナリーオコナー全短篇 上・下』 横山 貞子

イギリスの短編作家フランクオコナーを借りようとしてウロ覚えで借りてきたら、アメリカの有名な短編作家でした。日本にあと3人くらいは間違えた奴がいそう。
これは超好きでした。フォークナーの暴力と運命が、南部の明るい光線の中で熱を持って演劇みたいに予定調和に破滅するのが大好きなんだけど、コレなんで今まで知らなかったんだろってくらいよかった。善も悪も等しく不完全さゆえにすれ違って破滅するんだけど、本当に些細な、罪ともいえないような、善行と呼ぶのが当たり前のような出来事からドタバタしながら急速に崩壊していく短編ならではのスピード感。切り取る断片からの、不毛の大地と人生のどうしようもない広大さ。女性ならではなのか、絵画や映像のようなイメージがめまぐるしく移り変わって読む快楽もすごくあってボリュームがありました。
悪意は不完全な善からゆるやかに至ってもう引き返せないちょっとした不快感でしかなく、善もまた破滅と絶望の淵で一瞬輝きすぐに消えてしまう時間でしかなく人生の長さ、あるいは死と忘却に埋もれて無価値さMAX!
激しい明滅が鮮やかな短編集でした。

メモ:↓一編翻訳 本とはずいぶん雰囲気違う
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