『ジャスト・ベイビー 赤ちゃんが教えてくれる善悪の起源』

赤ちゃんを対象にした実験で、道徳や共感を観察したエピソード集。印象的なエピソードは「1歳2か月の子は、泣いている子をその子の母親ではなく、自分の母親のところへ連れて行く」。共感はある、でもそれを解決する相手の身になるのはまだ先、とか細かく段階があることが観察されてて興味深い。道徳についても、幼児だと奇数のものを分けるとき、何の条件もないときなら結果の公平を優先して、余ったものは捨てる選択するとか。社会的動物として人間それぞれにある程度共通の基本設計があるっていうのが読めて面白かったです。経済学部の学生とそれ以外で実験やったときに、ゲーム理論的なふるまいの差で、経済学部の学生が原始的な感情にさらされてストレス受けるくだりも面白い。でも、結局はそれらに加えて、判断の主体は状況も判断するし、経験や論理も使ってるでしょ、という話もあるのでバランスよい本でした。