ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働

theatre project BRIDGE

二日目を観劇しました。「ワインディング」と聞けば雷電STG)の紫色の曲がるレーザーを連想し、タイトルがビートルズの捩りであることさえ気が付かなかった人なんで、所謂ノルマチケットで知人がいるわけですが、感想書くことにします。

30前後の若者による社会人劇団の公園という前知識から、練習不足でも目をつぶっていたと思うんですが、ちゃんと金とるレベルの演劇でした。チラシがずいぶんしっかりしてるな(スミマセン)と受け取って、劇が始まっても役者はトチらないし、小道具に音響に舞台転換など、何も気になるとこなく観終わりました。すごい。もう、これだけで本当にスゴイことだと思ってしまう。毎日仕事行ってるのに。裏の膨大な苦労に思いをはせて辛くなるくらいミスがなかったです。

オムニバス形式っていうことで、これも細切れに練習し易いなどの事情故の構成かもしれません。脚本も3人。目指すところのカバーする範囲は同じなんだろうけど、ジブリ大好きファンタジーと、ネットネタのなんか視野狭窄っぽい人と、一番巧い下ネタの人とで、演目の巧拙と水と油感はちょっとありました。でも、全体通して筋もあったし、見られないってことではない。ジブリネタが寒いのと、ネットのネタをそのまま笑えっていうのは異化足りなくて怒りさえ覚えるので、3人目の下ネタまたよく見えちゃって、私が面白いって感じるお芝居は時々あった!くらいの割合でまあ人間、好みもあるしね。自転車の小道具使う演出の3人芝居は、役者もそろってとてもよかったです。若い女性の承認欲求だったり定形を描き切る脚本がよかった。労働がテーマなんで、最後エッチしなかったねえ。

社会人劇団の劇中劇の流れのあたり、これは内輪向けの話なんだと納得しましたが、同世代の社会人ということで内輪の輪の外にカスるくらいの観客だったかもしれません。
劇伴にピロウズみたいな音楽ってキャラメルボックスくらいしか知らない…そう、きっと通なロックなんだけどこの手の音楽はピロウズスクーデリアエレクトロみたいなのとしか表現できない趣味の人間なので、ちょっと私の感性とは違ったところに重きがありました。自分の興味あるものしか見なくなってたから、違うっていう感覚が面白かったです。

演劇という開かれている表現で、観客との応答が問われるものに、自分自身をさらけだすっていうのを、仕事を持ちながらそしてこの年になってもやるってのは本当にすごいことだと思います。自分自身に価値を置くって、当たり前だけどなかなかできないよなあ。できなかったなあ。
私のように大学のサークルのOB同人誌に時々寄稿するのが精いっぱいとはわけが違う。私は自分を知らない人間には自分の作品を見てほしくないし、いろいろ言い訳してそれでよしとする甘えがあるけど、こういう生き方を見られてよかったです。