『戦場からスクープ!』

戦場カメラマンの半生記。戦闘の最中の熱狂と、同僚の半数以上が戦場であっけなく死ぬ日々、個々の被写体の深い悲しみも感じる心も当然ありながら、自分自身の死の危機に何度も何度も飛び込む、猛スピードで駆け抜ける人生。麻痺と狂騒のすごい活動量の人生の魅力と、あまりにも無意味な大量の死の落差がものすごい。現代史の戦争のあるところに飛ぶ日々なんで、断片的な事実がこの人の一生に重なるんで面白かったです。
アパルトヘイトのことも、職業や居住地域で差別され搾取されたっていう大まかな知識しかなくても、ディティール書かれると考えるきっかけになりますね。
取材の滞在中に借りていた家で使用人に赤ん坊が生まれた。でも、白人専用地域には雇用されている黒人しか住めないので、生まれたての赤ん坊でも遠くの親戚に手放すしかない。地域住人ではない自分たちは見逃すけれど、密告で警察が来て違反日毎に数千ドルの罰金を払うように言われて、結局赤ん坊を手放させた話とか、こうやって思い出して書くほど思い悩んだ出来事を、とどまり続けない職業故に、というか問題について報道するのみで本質的に解決するという姿勢はとらなかった人生に対する懺悔でもあり。究極が、戦争の報道のために戦争の当事者のどちらかの庇護を得ないと報道できない、悪いと思われてるほうのインタビューを視聴者は当然見たいが、悪人とどこまでお友達になるべきか…生死をかける葛藤で生をとってきたからこの方生きてるんですね。

戦争っていうと、第二次世界大戦を思い浮かべるけど、常に戦争だったんだ。