『聖の青春』『将棋の子』

昭和57年前後、将棋棋士を目指す羽生世代と言われた若者を描いたネガポジにあたる2冊。『聖の青春』は羽生に匹敵する天才棋士ながら夭折した村山聖、『将棋の子』は棋士になれずに去って行った若者たち…そして著者は彼らと同世代で将棋を愛しながら奨励会に入れる実力はなく編集者として将棋界に関わってきた人。
人生の挫折を描く物語はどれも似ていて、いくつもあるけれど、もう後戻りのできない進路をほんの子供の時に決断して全力を尽くすことの純粋さ、挫折の後に続く人生…これを読む人の立場によって感じることが違うだろうなと思います。若いうちに読んでも感動しただろうけど、今読んで本当に面白かったです。今は、この子供たちに尽くす親達に思いを馳せてしまいます。親が理解できない天才だって無力な子供で、伸ばしてやろうという助けがないとどうにもならないんですね。わが子の希望も絶望も共にはできないのに、支えることがどうしてできたんだろう。