『皆勤の徒』

ものすごい小説でした。これ以前/以降になるような作品なのに、これを作れるのはこの作者だけだろうっていう。日本語を意味何重にも酷使してるので、こういうのが芥川賞もらえばいいんじゃないかと思うほど。直木賞はもらえそうにない系の作風通すので読むのは超疲れる。
表紙がいかにもハヤカワの趣味小説枠なんで最初の単語のダブルミーニングの駄洒落風味に油断して読んでましたが、一点の隙無く超強度のある文章体系で、小説のための文体の付け焼刃でなく、作者の文体がこうで完成されてるんだな。これだけ器用なら、普通の読みやすい日本語も絶対書けそうだけど、この話にしてこの文体だからこその読後感だなあと思います。
最後に大森望の解説がつくので、追い切れなかった点がスッキリしました。SF!
あらすじとか知らずに、濃密な文体に押しつぶされながら、結末まで揉まれて運ばれるのが吉。
これから読む人がいましたら、がんばって最後まで読むとものすごく面白いよ!とエールを送りたいです。面白いよ。

ただし嫌いだと思ったら読まなくてもいいと思います。そういう作風でもある。個人的にはシドニアの連載終わった二瓶先生に短編漫画でも描いてほしいです。大好きそう。