『ねじまき少女』パオロ・バチカルピ

賞いろいろ総ナメにしたSF。SFっていうSFだねえ。読みながら世界観が浮かび上がってくるのがいいんで、あんまり説明はしませんが、とある事情で世界が破綻した近未来のタイを舞台にしたSF。だいたい著者は何人だよっていう、エキゾチックとSFで遠い遠い世界を感じられました。最近タイの売春地帯とか貧困とかドラッグ売人の白人とかアンダーグラウンド紹介記事(http://www.bllackz.net/blackasia/)読んでたので、雰囲気がよくわかって超タイムリーでした。
日本人美少女とかスチームパンクなメカとか、SF大好き向けにサービスも満載ですけど、描かれているディストピアは地続きの未来であって見たこと無い世界。だってタイだし。そしてちゃんとSFらしくかっ飛んだ結論の新しいユートピアも提示しているので、これはいいSF小説でした。
余談ですが、日本人がSF好きなのって、SFらしいSFに出てくる日本が、ジャパンアズナンバーワンな時代から変わっていないからなんだろうなと思いました。