『帰還兵はなぜ自殺するのか』デイヴィッド・フィンケル

映画のアメリカンスナイパーを、原作読んでいるのかと錯覚するほどに、全く同じ内容でした。双方のサブテキストとしてどうぞ。アメリカンスナイパーは一人、こっちは何人かを扱う。
貧困層の若い夫婦、従軍ストレスによる精神崩壊または致命的な肉体の損傷、もしくはその両方、そして帰還後の社会不適合と家庭不和、そこに必ずいる赤ちゃん…同じような家族構成で同じような問題が、同じ原因で繰り返される。従軍したことで、肉体と、精神というか脳みそに起きてしまって、もう何もかも元に戻らない。生きるための能力がなくなる。個人の資質の問題でもなく原因が一つで等しいけれど、かつての戦争で崩壊した家庭環境のエピソードと、今の彼らに子供がいることを考えると、それが再生産されるであろうという暗鬱な感想になります。