『子どもを殺してくださいという親達』

売れてる本。ザ・子育て失敗選。・・・。大失敗だよ・・・。衝撃的なタイトルだけど、書いてあることはごくごくまじめ。措置入院や移送などで、医療につなげる民間の精神障碍者移送サービスを営む著者。著者近影がオラオラ系ヤンキーでうさんくさいと思ってたんだけど、それは見た目の趣味の問題で、アプローチや分析、解決はごく現実的でした。
子どもの就職や不登校から精神疾患発病し、引きこもり+家庭内暴力が十数年続いて親が高齢化という問題について

・子供の精神疾患の悪化(統合失調症躁うつ病が未受診で悪化して近隣トラブルを招いたり、殺傷事件につながる)
・薬物依存。精神疾患を装っていても、薬物の症状であることも。薬物なら犯罪を通報、アルコール依存なら医療が必要。
・親子関係の抑圧と支配、そこから親自身の反社会的資質が見えてきたり
・親のよくある願望の元の子供に戻したい、というのは年とってるほど無理。未受診期間が長くて症状が進んでいたり、何より子どもが年をとっているんだから社会復帰の仕方は限られてくる。
・窓口の紹介、通報/相談の仕方、治療施設、退院後の生活…

サービスにお金がかかることもあって、親御さんは裕福だったりして子供にいい学歴与えてるんですよ。結構な高学歴の子供たちが、社会に出るときに今までの問題が全部噴出して、引きこもる。でも親御さんとしては、こんなに頭のいい子どもなんだからできるはず…って40無職男にまだ期待しちゃったりして親心で歪んだ視界と元優秀な子どもが辛い…
かといって、子どもが小さいうちから親に都合のいい精神疾患の診断もらって、親がある種の免罪で責任放棄をするっていうのも問題があって、親から支配されていた子が、逆転していって家の中で親を暴力で支配するようになるケースもある。逆に、子供自身に医療が必要な精神疾患があったのに、親が世間体やら無関心で対応していなかったケースもある。…精神疾患と社会、個人と家族についての本でもあって、精神疾患ってなんだろうなあと思ってしまいます。

読んでたら統合失調症の関係者、本人の長大なインタビューがあるサイト思い出しまして、合わせて考えててしまいます。抽象的な病名が、ものすごいテキスト量で実体として知れるサイト。年単位の引きこもりもサラっと当然のように書いてある。
http://jpop-voice.jp/schizophrenia/s/index.html

厚い本じゃないけど失敗から学ぶ未来で、すごくタメになりました。

でも、著者のブログのコメント欄に見える、メンヘラにネトウヨにダメ気な人間が集まっちゃうスタイルが惜しく思います。でもそういう弱さを救う人なんだろうなあ。金はすごくかかる100万単位って本の中で何度も言ってるけど、わからんでもない。精神疾患の人の相手って大変なんだもん本当に。