2016-03-26から1日間の記事一覧

『道草』夏目漱石

夏目漱石と太宰治は、「俺の怒りが有頂天」のツートップで長らく読んでなかったんですが、面白かったです。30過ぎて今初めて面白い。今!やっと!芥川と鴎外は理想主義者だから若いうちでも、わくわく読むんだけど、ほんと夏目漱石はイライラして学生時代は…

『紙つなげ! 彼らが本の紙を作っている 再生・日本製紙石巻工場』佐々涼子

石巻の海岸一帯にそびえる巨大な製紙工場。構内から40体もの遺体が出てきた壊滅的な被害の様子の描写から、こんなにがんばって工場動かさなくても…と思わないでもないモーレツの突貫作業に、何がかかっていたか…たたみかけるように記述される事情が工場再開…

『クローヴィス物語』サキ

軽妙な短編で、会話のテンポや緩急が名人芸で素敵なんですが、底意地が悪い…フランスかと思ったらイギリスで、少年の心を忘れない20代男性向けのエスプリとイギリス意地悪ジョークの到達点。読者層が狭かったわけじゃないので、当時の文学のターゲットが20代…

『子どもを殺してくださいという親達』

売れてる本。ザ・子育て失敗選。・・・。大失敗だよ・・・。衝撃的なタイトルだけど、書いてあることはごくごくまじめ。措置入院や移送などで、医療につなげる民間の精神障碍者移送サービスを営む著者。著者近影がオラオラ系ヤンキーでうさんくさいと思って…

『死とその瞬間』エリザベス・ロス・キューブラー

怖いもの見たさで読み始めたものの、大きなあらがえない変容を前にしたときの予備知識として読んでよかったなと思います。死ぬような大イベントまでいかないにしても、何かをあきらめるとき、望みがかなわないときにどうなるんだろう。どうしたらいいんだろ…

『雪』オルハン・パムク

トルコの現代小説。雪に包まれたトルコの都市で自殺した少女達と市長選の取材をする、亡命詩人の話。トルコ人が主人公で、トルコと西欧の軋轢を題材にしてるけど私の乏しい欧州文学読んだ経験では、フランスとかイタリアなんかのヨーロッパ文学の正統っぽい…