『雪』オルハン・パムク

トルコの現代小説。雪に包まれたトルコの都市で自殺した少女達と市長選の取材をする、亡命詩人の話。トルコ人が主人公で、トルコと西欧の軋轢を題材にしてるけど私の乏しい欧州文学読んだ経験では、フランスとかイタリアなんかのヨーロッパ文学の正統っぽい。英米文学ではあんまり見ないタイプの、信仰の問題と、男の盲目的な愛の情熱っていうのが、西欧とイスラム、過去と未来の狭間で、イスラムと過去に寄っていく大きな流れで、小説の技巧も、ミステリかなと思わせたり、虚構と噂とメディアと過去の記憶なんか意識的で、小説技巧としてめっちゃ高度で面白い。最初はおっと普通に海外ミステリかなっていう軽めの本だと思ってたらどんどん錯綜して深みに落ちていって、ミステリじゃ理解も説明もできなくなってくる。新しいのに、なんだか古典小説っぽい印象ありました。