『世にも奇妙な人体実験の歴史』

学問のため、人類の進歩のため、そして国の勝利のためには、個人の命を捨てる気概のマッド感漂うサイエンティストの実験の歴史。実験対象は患者だったり、囚人とか孤児みつくろうとか、その時代その人の倫理観によって人体実験対象者はいろいろで、最も倫理問題が少ないであろう対象者「自分」にしたって、パパが4人の子供残して死んじゃったり、あり方がもうなんだかもうマッドで、やってることは深刻で結果は残酷なのに、そこはかとない面白み。とはいえ軽過ぎもせず、でもシリアスな情熱ある筆致で面白い本でした。
著者が深海学者なので、後半は深海や高高度への挑戦が書かれるんだけど、「何mまでなら安全です」「ここまでなら生きてます」って、実際誰かがやってみて死にかけた結果なんですよね…。
オーギュスト・ピカール博士の、個人で深海への挑戦に気球に息子といっしょのパートがえらい面白かったんで伝記読みたい。