『パリュウド』アンドレ・ジイド 小林秀雄訳

1990年の第6刷。本文が活版!活版の味っていえば味だけど字欠けとか結構版面の状態が悪かったです。初版から50年で6刷って多いのか少ないのか。っていうか55年経っても活版で作るってびっくり。

リュウドが日本語で何て意味なのかよくわからないんだけど、パレードのことかなあ。と思ってたら沼地の地名だそうで。カッコよすぎる横文字やめてくれないかな。まさに内容ぴったりのタイトルだったのか。
著者25歳の作品だそうで、30過ぎ読者には、若い時の文学の熱狂の跡に来る生活問題の渦中で辛い。屋根の安心と、そこから出ていけない比喩や、自分のためにならない、金のためだけにやる仕事で人生損なう恐怖とか、その果ての凡人の幸せとか。共感を誘う普遍的なテーマだと思うんだけど、日記風の文体で読者非フレンドリーなんでなんか格調高い。どうしても生活問題に寄ってかざるをえないあきらめの境地をコミカルに書いたようにも見えるので、あんまり深刻にならなくていいもんだと思います。めっちゃ薄い本だしサクッと。

あとどうでもいいんだけど、アマゾンの『狭き門』のレビューの「狭すぎ」は内容を的確に表現した感想でもう忘れられない。