『台所のおと』幸田文

サイコパスインサイド』読んだ後に、対極究極のこれよ!
繊細な感受性と思いやりで回る世界。サイコパスはこの小説にいません!そんなの当たり前とは思いつつも、この暗黙知で構成された同質性の高いコミュニティも今とは違う世界だなと感じました。私は住めない…。人情ってやつ。心が離れている病身の夫に付き添う「食欲」の、一見の裏にある心の動きっていうのが繊細でこんなにたくさん揺れ動いてるんだなあと。いいことばっかりじゃない。
自分の触れて目にする耳にするまわりのものがすべて。小さな小さな豊かな感情の世界の喜び。台所のおとの緊張感あふれる2番目の妻のシーンとか悪いことだって、この輪を出るための手加減というか、輪の構成員が受け取れるメッセージのある振る舞いをして出ていくんで、全部「わかる」、みんなわかってるっていう小さな世界。