『悪童日記』アゴタ・クリストフ 堀 茂樹訳

これ3部作なのか。先も読まなきゃ。

WW2の話なので、結構新しい小説。1986刊で後のベストセラー。名高い作品で、名作枠なんですけど世界的にベストセラー…なんでかっていったらそりゃエログロ、暴力、悪徳、犯罪が、真面目な顔して読みやすすぎ問題。そういうの人類皆大好きだからな!子供の日記という体裁なんで読み易い文体だし、表面的なとっつきは大変によかったです。

すっっごい悪くて絶望的な重い話を読むものなのかと思ってたんですが、悪の限りが尽くされ続けるとかではなくて、なんか珠玉のような善行も混ぜてきたりで、悪と善は連続する状況であって、個人の側面としてめまぐるしくたちあらわれる。人間だもの…それら人間の観察を通じて現れる、大きな状況としての戦争…
障碍者搾取セックスとかゲイとかロリコンとか児童虐待とか拷問とかホロコーストとかタブーも常識も地続きの表裏一体。
悲惨でとてもむごい話なんだけど、おもろうてやがてかなし感とか、戯画っぽいとか、一本筋の入ったキャラによる痛快冒険とか、なんだかそういう読む楽しみ的な感触も妙に感じました。