アリスのままで

最近物忘れしがちな大学教授、長女にはもうすぐ孫が生まれるのが嬉しいけど、反抗期の次女、学業途中の息子がいるとはいえ裕福で恵まれた生活を送り、やりがいのある仕事に優しい夫… しかし、若年性アルツハイマーとして診断され、手に入れた全てが失われていく。しかも、家族性アルツハイマーということで、子どもたちも巻き込まれていく。時々挟まれる古い映像が、亡くなった母親と姉なのか、自分と子供のことなのか、その両方なのかいつの時代ともわからず、永遠につながる世代の輪を描いているようで、詩的で美しい。
ヒューマンドラマ枠なんで汚物とかキッツイ描写とかは無いんだけど、何もできなくなっていく、愚かしく無能な存在に成り果てる「恥」に苦しむ姿は、いたたまれなくなる。さらに、恥を感じる人格さえも…何もかも失われていく中で、最後に残るもの…