2019-06-04から1日間の記事一覧

『さぶ』山本 周五郎

ゲイ雑誌のタイトルとしてしか知らないので、そういう本かと思ってたら全然そうじゃないぞ! 人情話だ! 頭の回転の速い顔のイイ男とちょっとトロいけど気のやさしい男、山あり谷あり成長物語の大衆小説。読者の期待と心を翻弄しまくりの熟練の手管で小説っ…

『監獄の誕生―監視と処罰』 ミシェル・フーコー  田村俶訳

難しそうなやつ! 大学のときサボって読まなかった本で、でも、今読まないと一生読まない気がするし…。読んだらすごく面白かったです。 人間を計量する歴史。時間を、能力を。それは教育だし、テストの発明だし。罰を与えることができる対象に狂人がいないっ…

『覗くモーテル 観察日誌』 ゲイ・タリーズ  白石朗訳

モーテルで30年覗きをしてた男と著者の、始まりからモーテルが取り壊される終わりまでの交流のノンフィクション、という本当にあったことは間違いないのだけれど、話者が語る出来事の騙りと、著者による話者を題材にしたノンフィクションという外側から包む…

『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』田中 靖浩

数字は苦手だけど、読み物なら… 経済学の発展の歴史をエポックなエピソードをつなげて教科書的に上手に編集してくれるので面白い。面白い物語。身内同士だからこういう帳簿だったとか、鉄道ができたことで長く使うもののための費目を扱う経理になったとか、…

『パンダの死体はよみがえる 』 遠藤 秀紀

これだよ…グッっとくる博士の狂気の情熱。解剖や保存という動物の死体の科学者が遺体科学の意義や成果についてわかりやすく解説してくれるんですが、表現がいちいちとっても文学的、詩的なので、世界観がすごくいい。パンダの手首には第6本目の疑似指があっ…

『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』先崎 学

文章が上手。でも、おそらく最盛期ではないんでしょう。でも上手。十分以上に。それでも… うつ病の特徴に単純に頭が悪くなる(記憶力の低下、判断力の低下…)っていう症状があるので、頭脳がプライドもアイデンティティも全ての根幹にあるだろう棋士が罹患す…

『ダンゴムシに心はあるのか』森山 徹

アスペ(俗語としてのアスペ)の人が書いたのか??? とか思う私のほうがアスペなのかもしれない。深淵を除くものは(ry 命題が科学的な手法で決定されていくロジックゲームなので、高校の現代文並みには正しい文章だけど、なんかこう、もひとつ飛躍って…