『ラピスラズリ』 山尾悠子

幻想文学、ほんまもんの幻想文学じゃぁぁー

とウットリ浸れる本でした。視界30センチくらいの濃霧の中で錯綜できる、この密度。それぞれ違う話なのに、一冊の中で不可思議に絡み合っていて、短編集という体裁にもたっぷり浸れました。よい本でした。
幻想なんだけど、男の幻想文学みたいに脳内の迷宮を錯綜する肉体の喪失感もあり、女性っぽい肉体の確かさと感覚の淵の曖昧な線を、つーっと一本とても細い道を辿っていくような、危うさと完全さが。
うん、とにかく面白かった。(語彙が貧困)