画鬼暁斎 展覧会

画鬼暁斎 展覧会
http://mimt.jp/kyosai/
20年近く前の芸術新潮河鍋暁斎特集を、高校生の頃図書館の払い下げでもらってからずっと捨てられずに持ってるんで、原画が見られるってんだから行ってきました。後もう一冊は、伊藤若冲。そうです私は超絶技巧で、俗受けする絵が好きなのです。芥川より直木な人なのです。


チケット高いかなあと思ってたけど、質量ともリッチな展示でした。
オススメルートは、開館した直後に、2階に降りて最後の部屋〜春画の展示をゆっくり見てから、スタート地点の3階に戻って観賞。人波やり過ごしてゆっくり見られます。

古い日本画なんで、印刷じゃ茶色い絵ばっかの印象だったのが、現物は鮮やかでまるで印象が違いました。それから大きいんです。すごく。屏風絵なんで1mとか平気であるのに超密度で書かれてて、本に印刷された小判の絵だとシルエットしか見て無かったことに気づかされました。

デジタル画材だと、面作って引き算して白抜きするような書き方ラクなんだけど、墨の足し算だけで面でできた絵ができあがってるって、どういう脳みそしてんだという。美人観蛙図の手前の灯篭って、シルエットになってまして周りはソフトフォーカスで、リアルな女性の表情は見せたいものは超書き込みっていう。まじで髪の毛より細い線がスーッスーッと滑らかに重ならずにひかれててクラクラしてきます。
美人が見てる蛙相撲の取り組みもかわいい。お相撲自体もかわいいけど、周りに、色の黒いオタマジャクシから成り立ての子蛙背負って見に来てたりとか、超かわいいんだよなあ。
動物は、どいつもこいつも愛嬌があってものすごくかわいかったです。

それから日記のハンコ作戦は、フフフフって面白かったです。生涯にわたって絵日記を残してるんですが、よくあることや、よく来る人はハンコつくっといて押すの。この展示開催してる美術館の建物設計してるコンドルくんハンコが作られて、日記に押されてました。
お雇い外国人のコンドルさんの、暁斎の弟子となって日本画を嗜んでいたとか、交際のあった側面は全然知らないことで、暁斎の絵だけでもいいのに、この美術館ならではの興味深いよい企画でした。

暁斎の猫又、これも大きな絵なのね!ネコと隣のタヌキくらいまでしか映ってないカットしか見たこと無かったんだけど、初めて見た世にも恐ろしいポーズのモグラがかわいい・・・すごく威嚇してるつぶらな瞳のモグラ


それから、驚いたことに春画コーナーがありました。まさか展示があるとは。スクリーンで区切られてるけど混んでると気恥ずかしくて入らないかも。無修正の現物が展示されているんですが、受容の背景なんか的確に解説してくれるんでこれまた興味深い。

暁斎は仕事が終わった後に、まだ練習で観音様なんかの絵を描いてたそうです。晩年もまだ絵の上達を目指したそうな。
質も十分、量はたくさん、エネルギッシュな展示で、行ってよかったです。
何より見て、誰でも綺麗だとかカワイイとかウマイとかすぐわかるキャッチーな楽しい絵が多いのがいい。