ガタカ

遺伝子が職業も将来も決定するほんの少し先の未来、として20年前に夢見られたSF。だから、ネットとか個人デバイスが一切出てこない! 未来描いてるのに昔という逆説。
劣悪とされた遺伝子を持っているために下層階級として生きざるをえない男が、事故で下半身麻痺して世間からドロップアウトしたエリートに成り代わって宇宙飛行士を目指す。そのため血液を初めてとして髪の毛やフケなど排泄物やすべてを提供するエリート遺伝子の男と、密接な毎日を送るわけで、お互いの上下関係のような蔑みから、同一の人物、二人で一人の人物になっていくという、ものすごい濃密な人間関係が描かれるんですが、爽やか!不思議な爽やかさ!!ラストも、見ようによっては悲劇的なんですが、ものすごい爽やかな余韻なの。
遺伝子がどうこうっていう、いかにもSFっぽい話で、まさにそれが主題ではあるんですけど、同時に抽象性を構築するためのシチュエーションとして機能してるような。

変な感想なんですが、バキとかあのへんの漫画、ドロドロしてるかと思ったらものすごいサッパリ明るい漫画じゃないですか。あんなかんじの、男同士の濃い絆の、まさにホモソーシャルっていうやつ。若い青年を描いた映画で、ちょっと変だなって感じるくらい、男の裸がサービスサービスいっぱいでてきて、男同士の肉体的な絡みの演出が多くて同性愛っぽさをにおわせるんだけど、それが二人の男が一人の人間を作るっていう話を進行させるんで、スッキリ爽やか〜 もしかしてアイドル俳優のための映画だったんだろうか…変な感想になってますが、いい映画だと思います。
音楽がすごくよかったです。