『映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀 』町山 智浩

ブレードランナー話読みたかったんだけど、これ前作の1950年代を評論してるやつ読んだ後のほうがいいやつ。

町山さんといえば、ネットでたくさんラジオの映画レビューが読めて、くすぐりたくさん入れてパーソナリティーと軽快に掛け合いするスタイルに慣れ親しんでるんですが、文章媒体では落ち着いた筆致。テンションは高いんじゃなくて、硬く緊張しててすごい面白かったです。深刻。知ってる映画が多いんだけど、制作背景の膨大な知識といっしょに、アメリカその時代のなぜ?を解説してくれる。

広く商業的成功を目指すメジャーシーンの映画を主に取り上げているのに、作成者が意図するところはすごく狭くて個人的な理由に帰結する。80'を作家性の時代っていうワードでくくった評論集です。わりきれない不思議な印象を残したままにしてしまう個人的な作品を、商業媒体で成立させる映画ってメディア形式そのものがワンダー。どこに命がワンダーが隠れてるのか。
監督自身の内面を、自分よりも映画を見た人間のほうがよく知っている、監督の露出プレイ。セクシーだよ映画ってやつは。