『幸福論』カール・ヒルティ

↓の記事で、取り上げられてたので読みました。し、幸せになりたあ~~~い

「データとAIで幸せになれますか?」 日立のAI開発・矢野和男が語る - Yahoo!ニュース

 

なぜ「幸福」という数値化しにくいものに着目したのでしょうか。

若いころから幸せに関心があって、それに関わる仕事をしたいなとも思っていました。カール・ヒルティ(スイスの法学者)の『幸福論』は、ページが透けるほど繰り返し読みました。

 

 

まじでまじで、幸福になれるの?!

っていう大期待をかけておりましたが、結論から言うと幸福にはなれなかったので、なぜこの考え方では幸福になれないのか考えるための材料には…

 

幸福が個人の無限責任と取引される、資本主義社会という現代におけるあらゆる不幸の源泉みたいな本で、私はがっかりしました。これベースで作るAIで幸せになれる世界はあるだろう。ディストピアっていう名前の。社会変革せずに幸福をってならこの個人を改造して個人をどうこしろっていう妥協でいいんでしょうが… 計量するという観念さえ疑わない19世紀。フーコーより前だもんなぁ…

人間の意志の正体ってのにも、19世紀のキリスト教徒なので魂とか至高の座を想定してるのが伺えるけどその時点でもう…

 

現代がなぜ幸福ではないのかっていう逆説は↓こっちが思い浮かんでました。ごめんよ私は幸福になれなかった幸せになりた~い

 

unleashmag.com

沈黙

残酷シーンが重そうなのでなかなか見られなかったんだけど、素晴らしい質の映画でした。

映像も音楽もお話も、本当に見て良かった。

 

他人の感想がものすごく気になっちゃってネット探したけど、なんか思ってたのと違うかんじの感想たくさん読みました。

信仰に燃える若者の強さ危うさ、信仰を迫害する役人の惨さ、信仰が人を強くするのか、愚鈍な民に利用されているのか、鎖国キリスト教の国際関係も外さないし、パーツパーツがものすごく重要な問題で、現実と同じように論じきれないし、結論がでないままに、そこで描かれた時空に流れている理屈と時の内に、事は終わってしてしまう。本物の生以上に表現された情報量でカオスが生々しい。

 

信仰がない中年としては、社会を変えることをよしとして目指す若者、社会で人が生きることの挫折の物語として観ました。それでも、端々にフィクションらしいというか、人間味のある救済が差し挟まれていて、観ててよかったなっていう映画でした。

残酷な映画ではある。

地獄の黙示録

完全版じゃない、たぶん短いバージョンを見ました。世の不条理と、後身の作品に身を浸しすぎていたせいで、意味不明ストレスはゼロで、言われてるような難解映画ではありませんでした… っていうとマウントみたいだが、夜中の2時にタブレットで寝ながら見てても寝落ちしないくらいめちゃ面白かった。

難解映画とか嘘じゃんめちゃ面白い。不条理ってのも、戦争とか現実そのものが不条理であって、物語に対しての不条理はないので… むしろ、犠牲の山羊とか意味深ぽいカットは、ちゃんと意味深ぽくインパクト見せてくれるし意味もストレートだし。

 

戦争の絵はエンタメなので、題材事態のエンタメ度が超高いってところに、夢のような美しさがたぶん芸術性って言われる部分でしょう。どのシーンも見たことない美しさで、信じられないくらい豪奢華麗な映像でした。これ映画館で見たいよねえ。ものすごい。

エグザイルが公開してるライブ動画見ました

エグザイルが公開してるライブ動画見ました。

www.youtube.com

なんか時々テレビに映ってるな程度の隣人として視界に入ってはいるものの、コンテンツとしてのエグザイル見よう聞こうなんて毛ほども起きなかったオタク半生に正面衝突したハイローですよ。

オタクは一度好きになると周辺コンテンツも漁り出すのは常の行動。
本命のハイローのライブはまだ公開されていなくて(3/20公開)あら残念。でも、せっかくタダだし、キャラと作画がよければ知らんアニメゲームでもアイドルのライブシーンは大好きなので女子グループのライブなら流そうかな…って消化試合からの……からのーーーー1発目からライディーンYMO)!!うっそ

youtu.be

ライディーン!! 
このグループにはしんでも「♪きみィーに胸キュンv(♪キュンっ)など歌わせないであろう。種族が発生した系統樹が違う。てーくーのーてくのらいでぃーん~~っていうパロディにするとかリスペクトとかの斜めな意志ではなく、直球でうまい歌とうまい踊りでパフォーマンス上書きされるの初体験だよね。大ヒット曲ではあってもサブカルでオタクなじみ深すぎるYMOだけど、クラシック的な文脈を持たせたの初めて見ました。ただテクノの古典だからっていう箔つけるような使われ方で、何一つサブカル要素がなくて断絶してて、そういう使い方もできるのかっていう。

っていうか2014年なんすね6年も前にこんなことあったなんて全く知りませんでした…いかに何も見えてないか情報入ってこないものか。


ライブのトークの第一発声がギャルでギャルゥ~~~~~と嬉しく喜ぶオタクでした。アイドル物のキャラセレに定番且つまあ一人はいるよねってギャル属性消費されるところのギャルが、メンバーみんながギャルのALLギャル。ギャルキャラにもこんなにもバリエが……ギャルは、近代の流行っていうか、連載30年のFSSで近刊のギャルキャラ推しが正統正義を語る文法として採用されるくらいギャル概念がつよさを持つ時代なので。もはや身近にクラスメイトというギャルもチャラ男もいない年経たオタクにとっては、ギャルもチャラ男もキャラ概念としては大大好き。

 

後で調べて超びっくりなことに、ほとんど十代のメンバーで、成長途上や可能性を売るのではなく、パーフェクトエンタメを出して、お客様を楽しませます、っていうスタンスの鋼鉄意志ととてもしっかりしたトーク&アイサツすごかったです。だからこその、ほんのちょっと見える等身大っぽさがこれはグループの魅力ですね。ロリババアとか幼女先輩とかオタクが大好きな賢聖少女枠にも通じる。まあ全然失敗とかないんだけど。
アイドルとしては白雪姫の歌なんか、聞いたら一発で虜になるかんじのオタクキラーナンバーで、いかにも十代アイドルに歌われたらたまんないねっていうリリカル。でもパーーーーーフェクト技量。少なくともシンガーの歌って枠で聞く程度に。

youtu.be

で、よかったなーいいなーって感涙してるとこに、なんとなんとのスペシャルゲストにエグザイル(男)とか出るんすよ。女の子が盛り上げても、誰??何???とアウェイに放り出されそうになるわけですよ。ハイロー一回見たオタクにはあっ、ポン刀のヤクザとヒルナンデスで見た孤児院のいい人っぽい人!って若干の接点あっても、今、この女子ライブに知らん男を、なんか絆的なかんじで呼ぶの??っていう内輪ノリにはじき出されるかと思いきや、圧倒的ダンスパフォーマンスのダンサーなので見てしまうし讃えてしまいました。とにかく動きまくって踊りがすごかった。

youtu.be

こうなると、男メンバーも見るかって思うわけで、食わず嫌いをいくつかつまんだらさわやかーな健康的なキャッチーアイドルのダンスナンバーで、こういうのオタクコンテンツでしぬほど聞いたし、好きなやつだな、って……もしかしてエグザイルって叶姉妹的な芸能のためのキャラなのか!!全部キャラだったのか!!!ってわかりました。理解しました。プロ野球並みに理解。
オタクが触ってもいいやつでした。
でも個人的にヒップホップはあんまりわからないジャンルでごめんな。キャラ擬獣化とかどう見てもオタクは入り易そうなやつなんだけど。

 

ハイロウ見てると、あっ3兄弟の末弟!とか、知ってるキャラが歌って踊るの面白かったです。特撮のEDダンスナンバー然り、キャラが歌って踊る時空間というのは、ストーリーや設定っていう言葉やドラマとは別時空でキャラ解釈を表現する場であって、楽しいんですよね。キャラの物語は、歌と踊りの後から作ってる逆転の発想がほんとすごいと思う。ベタな良キャラと最高パフォーマンスをセットでお出しされると、卵も鶏も順番がどうでもよくなってしまう。


感想としてはすっごい好ましくていい芸能でした。見てよかった。秋葉とか乃木坂の千億倍くらい女性の芸能として健康さを感じました。
可愛げ枠ではなく、男女の歌でもなく、男キャラを仮託してカッコよさを歌うでもなく、女の「わたし」が主語のままカッコイイ枠の歌を歌ってもよい。当然のことなんだけどさ。

youtu.be欅坂なんか、自分は不当に貶められてると思い込んでる男の代弁者を、美少女にやらせる商売してるのが、見てて痛々しくて。男の泣き言に美少女の皮をかぶせるの、やっていいことと悪いことがあるだろうよって、思わずにはいられなくてね。そんな傷つきながら無限救済をもたらしてくれるよしよし系聖美少女も消費できるオタクで私もあるんですが、でもこの圧倒的な健康を知ってしまうとそんな救済はしょせん、誰かを搾取した生贄で気持ちよくなってただけだなと思います。自分を鍛えなくてはいけないのだ…鍛え上げた筋肉は世界を救う教とカテゴリが近い。(それはそれとして生贄もお手軽なので、やめられないのだけれど……)

 

男への媚びがマジで無くて、ゴールに男がいない。
かといって男抜きの世界かといえば、兄弟グループとして男グループがあるっていう位置づけが、ただの設定だとしてもさ、とても健康に感じてね。ゲストも男が応援に来てくれたよーではなく、ライブ映像見たら納得の誰がどう見てもパフォーマーとしての兄貴分師匠成分であって、男女っていう文脈ではなかったので。

 

違う価値観でした。子供のころからテレビで見てきたものと。違う芸能。まあ、変わらないのは希望とか夢とか仲間とかしゃらくせえこと言ってて、魂が腐りきってる私とは相いれない価値観ではあるんだけど、主語が違うので、全く違う。

あと、オタクコンテンツをスナック感覚で消費してぜい肉のつきまくった感性により、ファンタジーにしか見えないので面白がれる。もうさ、若い子ってだけでエルフだし妖精。


私ががんばれがんばれって言わなくても、たくさんの人の届けられてていい世の中だと思いました。希望を見た。これはこの世の善。善善善。

映画の感想

ファーストマン

宇宙モノは大好きなので最新技術での再現映像見られてものすごい満足だけど、映画としての主題は文芸的というか今の時代のアートっぽさ感じる。だから4回くらい寝落ちしてなかなか打ち上げシーンまで辿り着かなかったという…。

事実として語られてきたことを私はいろんな媒体で読んだり見たりして知ってるんだけど、それをこう編集するのかって。エンタメではない。語る方法や手段がなくて、そういう問題提起なかった話題を、新しく書こうっていう。アメリカの神話のような宇宙開発物語っていう紋きりではなく、このテーマを使うときに今はこういうこと書けるのかっていう。

 

七人のオタク

昔の映画!!!!ウッチャンナンチャンが若い頃。そりゃアイドル映画だよウッチャンがカッコイイのとカンフーアクションがマジな。

当時の映画という媒体で描いてるヒーロー像に、オタクを当てはめて書いてるので、的外れで気恥ずかしくなるオタク映画の要素全部のせなんですけどこまけえことはいいんだよ。ファンタジー、ムービーマジック。

いろいろと今の時代の映画じゃないな…って思わせられました。面白かったけど。

 

ZIPANG

子供の時見たなんか印象深い映画これだったのか!

ぷかぷか海に浮いて次は何しようかなっていう場面を、ものすごい不安と虚無感とともに覚えてたんだけど、それは誤解でした。

おすすめしてくれてありがとう尼プラ。私はストーリーとかどうでもいいと心の底では思っているので、一生懸命勉強してストーリーやつじつまは大事だと思い込もうとした生涯ですけどダメでした。こういう映画で育てられたんだなと思います。めっちゃくちゃ俗悪で面白い、サブカルエンタメ時代劇。やりたい放題に無尽蔵に金が注ぎ込まれててすごい。

 

どうでも良すぎるんですが、アマゾネスみたいだけど声がきれいな秋吉みちるさんって女優さんがいて、どこかで聞いたことが… と思ってたら銀河英雄伝説の主題歌の人でした。びっくり俳優さんもしてたんだ。

常々、主題歌がわかりやすすぎてほんとの英語なのか不安だったけど二世の方ならほんとの英語なんでしょう… こんなところでわかるなんて

 

あと、昼はサラリーマンのジャパニーズが、実は忍者で妻子の復讐をする金曜ロードショーでやってた映画がわかればいいなと思います。観た人はこの世にいるっぽいので存在はしている。

 

アメリカンゴッズ2、カーニバルロウ

あんまり面白くなかった。映像は超絶すごいし俳優もとびきりなんだけど話があんまり。

 

ザ・セル

昔から一回見てみたかったけど、芸術過ぎるかアート過ぎるかって雰囲気でなんとなく見てなかったやつ。今見ると、大作大作ってかまえないで余裕持てて見れるっていうか素直に見られたように思います。心揺さぶられる主観の狭さが、まさに心の話を描いてるってことなのでほんとよかった。

猟奇事件も当時は衝撃的だったろうけど、普通の題材に感じたのも今の時代のせいか、私がろくでもない年の取り方してるせいか。

本の感想

『殴り合う貴族達』

バイオレンスアクションエピソードin平安がたっぷり読めるので、何も考えたくないときにおすすめ。暴力ってそれ自体がもう面白いので。エライ人は権力ってか普通に殴る蹴るのマジ暴力行使しまくり。えらいから別に罰されないし…

スポーツ新聞とか明らかに楽しませるために暴力沙汰ゴシップ挟むじゃないですか。1冊暴力事件オンリーなので面白くないわけが無い。

 

『酔っ払いの歴史』

話題がまず好ましいし、単なる雑学本レベルではなくライターの語り口が面白いので、この本好き。面白い。歴史上の飲酒風俗詳細。酒は安全な食物である。滅菌された安全な水だし高カロリーなんでみんな飲みたいよね古代、あと酒飲んでるときしか物事を決めてはいけない会議とかうんうんそのとおりだよ。

 

カナリア王子』イタロ・カルヴィーノ再話

王子様とお姫様の民話。でも、お姫様の超魔法パワーが超強い。ほぼ魔女なので王子様はだいたいとてつもなくヒドイ目にあうが二人は幸せになりますv

別にどっちかが正しい人間ってことでもなくて、男女とも嘘ついたりクズムーブしてくるのが…王子様とお姫様の話ってディズニーだとまた違う雰囲気なんで、いろいろパターンあるんだね。

 

『ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正

私の知ってるロケット忍者ササキって単語がここから来てるんだろうか…

シャープのエライ人の評伝。元のタイトルが電卓戦争とかいう地味なタイトルだと思うんですが、こんなに技術が身近でものすごい変遷した時代あったんだなっていう、私には体感できなかった歴史でした。シャープって中小企業なんだって。とか。カシオの成立面白い(4兄弟で兄貴が天才、弟が売る)とか。ソフトバンクというか、LSIとかコンピューターっていう技術がでてきた当時の話。薄いのでよい。

 

『アヘン王国潜入記』高野 秀行

ない ことになってるし、ない はずの商売をして生きてる社会。

 

『サピエンス全史 下』

図書館で借りたら下だけ即来ました。上は200人近く待ってる。んで下だけ読みました。でも↓読んだから上はいらないかも。

中年にオススメっていうか、今まで知ってる断片的だった情報を整理してまとめてくれて、意味教えてくれるっていう読みやすい一般向け書籍。最後が幸せについての話で、生物学的生理的な人類の限界を書いた後に、克服した先はもう今の人類じゃないよねってまあそうなるよね。

学術書ではないのでたまに乱暴さを感じるけど、面白かった。

 

『人類進化の700万年 (講談社現代新書)』 三井 誠

読みながら、もしかしてこれサピエンス全史の上に当たる部分なんでは…と思ってました。未来を、他人を想像する力がいつの時点で生まれたのかとか、生物史。

人類が1種類っていうこと改めてほんと不思議だし、小さく進化した種類(絶滅)とか、違う種類の人類が普通に絶滅しまくってるので、ほんとふしぎ。

 

 

はてな記法が使えない?のかよくわかんなくて読んだ本をメモすることが億劫になってました。メモしないと読んだことある本ほんとに忘れちゃう思い出せない

 

『漁撈伝承』ものと人間の文化史という叢書の一冊。漁師の世界観知らないから、見たことない世界で面白かった。生と死が自分にも生業にも深く先鋭化した日々と、地上に生まれたことで山、生業としての海、どちらにも属する存在として世界の中心とも周辺ともいえる世界観の独特。

『闇の女たち』日本の街娼のルポ。ルポ部分+総論で巧い上に労作なのと面白いのとで、とても良い本。

『花殺し月の殺人』20世紀初頭、FBI設立間もないころのインディアン連続殺人事件と今。すごい読み応えあったルポ。すごい面白かった南米のZのルポの人だった。次の作品がコレって生涯に1冊あの質量と情熱でいいんじゃねっていうのが、また。

『午後の曳航』三島由紀夫。余りにもうまくて息苦しくなるほどに。自分の感性や興味とは違うんだけど、あまりにもうまいしキレイ。

『インド夜想曲

『自殺会議』強烈な自殺ネタ(母がダイナマイト心中した)を持つ著者が、自殺の関係者に話を聞きに行く。子供に自殺された人、自殺を東尋坊で止めてる人、自殺された人…ただ、おさまりのいい話にしたいっていうゴールがないので、ものすごい面白い。出てくる人が超面白い。

『甘えの構造』読んだのに中味を忘れてしまう。

『害虫の誕生』勉強になりました…。社会史として、害虫を薬品とかで物理的に防除っていう発想がまず近代のもので、天災だから江戸時代だとお札とかなんだよ。

戦争で熱帯行ってたから防虫が国家プロジェクトになったりとか。
『原爆』石井光太郎のルポ。本当にフラットでうまい。復興を書くことで、何が失われたかを対照的に描き出す。

『その日暮らしの人類学』アフリカの路上販売を人類学?社会学? した著者による、その日暮らしという世界観。冒頭のヤノマミとか狩猟民の世界観では蓄財や発展という、今ものすごく当たり前で疑わない思考が否定される。そうではない世界感。

『ノモレ』