『死の地帯』ラインホルト・メスナー

死にかけた登山家100人に聞きましたー、みたいな本。滑落している時、何を考えたとか、遭難しかけてるときの幻覚とかを蒐集。

ちょいスピリチュアルなのかなーと思ってたんですが、遭難しているときに「そばに家族がいるように感じる」「いないはずの友人がいる」「誰かの声がする」ということから、魂とか霊とかいう結論じゃなくて、「遭難して極限状態の中では、人間は他者の存在を必要とする」という方向に持ってくので、安心して読んでました。不思議。
それから、滑落を見た人はすごいトラウマで恐怖があるけど、死ぬことを確信して落ちている人には死ぬ恐怖、痛みはないとか。でも、助かる可能性を少しでもあると、とても苦痛だとか。
中々、面白い話がたくさん読めました。山に登ることを、征服するという考え方を前時代的として、人間の中で何かが化学反応のような、心理の構造の変化のような、何かが起こっているという考え方をしたい本らしいです。

山登り、極限状況の中では、いろんな人間の体験に共通するものがあるという話でした。それは霊魂とか信仰とか名前がついて呼ばれていることもあるかもしれないけど、人間の脳みそにはそういう共通の部分があるのかもしれないです。なんかマジメな気持ちになってしまいました。