第65回世界SF大会/第46回日本SF大会 Nippon2007に行ってきました

9月1日に行ってきました。日本のSF大会は、毎年どこかで知らないうちに知らないところで、知ってても参加するかどうか迷ってるうちに行われているようですが、今年はなんといっても世界大会だぜヒャッハー(北斗の拳の雑魚みたいな声で)
ハッハー
アジアに来るのは初めてで、勿論日本初。いつもはアメリカとか英語圏で開催してるイベントだそうです。
国際会議場で5日間連続開催で、一番メインの土日の当日券は2万円、とてもじゃないけど気軽に行けるようなところじゃない、自分のようにあんまり詳しいわけでもない者が行ける場所じゃないと思ってましたが、「市民割引」という、もうこれから先は一生なさそうな制度を利用して冷やかしてきました。パーティに出られないとか、パンフレットがないとか制限付きで6千円。

そんな大層なイメージ抱いて行きましたが、入場はまったりのんびり、ゆるい空気。一般入場の行列できてましたが、開会前でもふらふらーっと人が行ったりきたりしていてフリーなかんじ。日本でやる世界大会ってことで、SF好きな人は遠方から来ている人もいたと思いますが、人の絶対数が少ない。なにしろ規模が全然想像できなくて、何やるかもよくわかっていなかったのですが、アットホームという言葉で誤解はないです。チラシ置き場なんか、ジェダイファンクラブみたいな有志のチラシとかいろんなものがごちゃまぜで、ちょっと何かを思い出します。コミケとか、コミケとか。

でも、広い。

無料で入れる展示スペースから入りました。円谷のブースとか、SFの表紙のアーティストの原画展示とか。結構手作り感漂う雰囲気。でも、飾ってあるものはすんごい。マイケル・ウィラン氏の原画がとてつもなく美しかったです。70センチくらいのキャンバスに、超細密な絵。これ、人間の手で描くのか・・・それから、参加者は、プロアマ問わず参加したい人が参加してるみたいで、レベルいろいろの作品が、一同に展示。

メーヴェがいたよメーヴェが!ナウシカのメーヴェを本当に飛ばそうという結構有名なプロジェクトをやってる会社の展示で、実機のメーヴェが飾ってありました。劇中イメージより二回りくらい大きいのですが二人で、両翼もってよっこらせと動かせるくらい軽そうでした。実際この目で見ると、ロマンの塊でした。
宇宙服が釣り下がってるから何かと思ったら、普通の休憩スペースとか、メーヴェは置いてあるし、ロボットが動いてるし感覚がおかしくなってきます。

今までのSFコンの歴史を、日本と世界版の両方を展示したスペースは、結構見入ってしまいました。SFオールタイムベストを日本版と原書のパネル展示は、あーこの表紙で読んだなーとか懐かしくなってました。原書の虎よ!虎よ!の表紙のあまりの虎っぷりに吹き出したり。
おみやげのTシャツ展示&販売は、ちょっと手を出しそうになりました。でも、注文した翌日受け取りというシステムだったので買えず・・・今年のTシャツはフジヤマ桜をバックにドラゴン。結構バックナンバーが買えるようでして、日本でこういうの作ると着て歩けないけど、ファンタジーやSFのデザインなので、普通に着て歩けそうな、むしろ着たいかんじの柄のTシャツでちょっと欲しかったさー。
あと、ワンフェスとかフリーマーケットのような、手作り即製感あふれる業者さんスペース。出版者とか、そのへんの有志とか、中古屋とか。メタルなドラゴンを造って売ってるアーティストの作品展示が印象的。普通の会議机の上に、ギラギラメタルで優美な曲線のかなりでかいドラゴンがうじゃうじゃしてました。
コミケで見かけた、エロゲだかギャルゲだかの青いTシャツを企業が配ってて、それはちょっとーな印象。そういや、コミケの紹介スペースもありました。昔のカタログやポスター、昔々の同人誌の展示。もう、あ、この表紙見覚えがあるから、この年から行ったのか・・・とか溢れかえる思い出にちょっと苦しみました。

メイド喫茶には入らずに、メイン会場の、会議スペースへ。
1階〜5階まで会議室で同時にたくさんの、会議をやってました。公用語が英語なので、「SFにおける階級制度」とか「SFにおける性」とか「印象に残る物語を書くためには」みたいなまじめで面白そうな講座は出席できなかったのが心残りです。普段は、英語でやってるんだから日本で開催してようが英語でやるのは当たり前なんですが。SFとかファンタジー好きに限っては、英語が読めて話せたほうが絶対にいいなぁ・・・
会場は日本人のほうが多かったのかな?でも、外国人さんもたくさん。いろいろ面白い制度があるみたいで、正規参加者は、ロビーの掲示板に名簿があって、参加していたら押しピンをさしておいて他の参加者に、自分が着てるよーって知らせる制度はブードゥーなんとかっていうらしい。あと、ご飯をいっしょに食べましょうのリボンを参加証につけておくとか。おーアメリカっぽいー
恒例では、マスカレードっていう、仮装がかなり多いらしいんだけど、日本会場というせいなのか、行った日は仮装してる人あまり見かけませんでした。でも、邪神さま(byクトゥルー神話)のぬいぐるみ抱えてる人や、肩にグリフォンがいたりして、やっぱりおかしかったぜ。つーか、クトゥルーのぬいぐるみが市販品だということに驚きを禁じえない。さすがアメリカー
ウフフフー(キモイ)実は売ってるのは知ってたんですが、実物は初めて見ましてご機嫌です。・・・フェイクに一般人を装おうとしましたが、緑のタコをクトゥルーと呼ぶ時点でわりとアウトでした。

そういうわけで、英語まるでだめ且つSFよくわかんないー、な自分の参加したコースはぬるい日本人のコースでした。
10時〜 前半は展示スペースにいたので、「中つ国上級公務員試験講座」(要は指輪物語の超カルトクイズ。2ヶ国語版)の問題と答えだけもらいに。友達が好きでついていったのですが、その難問ぷりやまさに公務員試験な常識に見えて痒いところが思い出せない難しさ。

11時〜 日本SF図書館員協会をちょっと覗いたら、どうも、本物の図書館員且つ、「図書館の出てくるSF」に対する議題。面白そうでした。「バイリンガル講座になってたけどだけど、日本語でやるよって、通訳してよ」という言葉に応えてそのへんの人が通訳したら、「あ、英語しゃべれるじゃん」と、その場で通訳が生まれる瞬間の空気とか、これがインターナショナルかーという感激でした。とにかく、ごく普通のおじさんおばさんが、ごく普通に英語をしゃべりだす会場で、不思議でした。
パンフレットないので、行ってみるまで何やってるのかよくわかんないので、会場を上に下に動き回ってました。時間忘れちゃったので、行ったところを適当に。
「オールタイムベスト日本と外国の比較」そんなかんじ。結構違うもんです。
「おぼろげ絵画教室」オタク向けなのかな、パネリストはマンガ家さんやアニメーターさんで、その部屋にいる参加者全員でうろ覚えでお題を描くという企画。「あづまひでお先生の自画像」とか絶妙すぎてよくわかんないことに。「デスラー総統」のヒントがなにしろ「ドイツっぽい」「顔色が悪い」「ワイングラスにトゲが生えてる」なんで、そういうの狙うのもありでした。赤井孝美先生の鬼太郎は、会場からため息が漏れるほど美少年でした。
参加者が粒ぞろいというか、場の雰囲気をわきまえてるかんじの人でお題まわすので、内輪なかんじの一体感が素敵でした。初めてなのに初めてな気がしない。
「人間戦艦ゲーム」いい年こいた大人が、人間コマとなって、でかいマップで戦うよゲーム。なにしろ、参加者がみんなSF者でそういうかんじの人、高校でいえば文化部の中でもオタクよりな人の集りなので、「損傷は軽微なりー小破!」とか「5歩前進、右45度回頭後砲撃ー」とか、ロールプレイが楽しいこと。コマとなる戦艦は自分自身に自分で名前つけるのですが、「じゅうじゅん(重巡洋艦)」とか「ムサイ」とか「Thunder bird 1」とか「冬月」とかもう押して計るべし。普通の人は、嬉しそうにマジで戦艦に名前つけようとしない。
「SF奇書解説」だったかな?戦前からのトンデモSFを解説してくれる講座。軽い気持ちで入りましたが、聞き入ってしまいました。「そのときいっぽうはるか未来では」とか、まじめにやってるのにメチャクチャなSFと、バカSFなんかを軽妙に紹介してくれましてその場の勢いでまで買いそうになりました。

狭い会議室は立ち見がぎっしりするほど盛況で、猫魔山(怪獣小説。ニャーらしい)の作者のおじいちゃんとかいて拍手が。自費出版の本は当然、宗教系とか、歯医者さんの衛生SF本とかまでありまして、コレクターって大変だと思い知りました。「すごいこと発見したけど、このすごさをわかってくれる人がいない」という気持ちは、小なり体験したことあります。本当に、コレクターって大変。


あと、行きませんでしたが、ミリタリー系の話には廊下に人がはみ出すほどそれっぽい人が集ってました。そうか、そうなんだ。思えば、同じ会場でダンスの選手権をやってたらしく、SF大会は本当にやってるのか尋ねている人も・・・なんてひっそりとした大会。案内の一人も外にいないなんて。垂れ幕とかも勿論ないよ!来たいやつだけが、がんばって来い的な空気。翌日は、コミックワールドとかいう地方の同人誌即売会が隣でやってたりして、あまりの客層の違いに、戸惑いが目に浮かぶようです。

NINJYA映画上映会。本物の忍者アクションを〜という映画上映会とか、あとソラリスの陽のもとになんかを題材にしたSF演劇もやってたみたいで、中は、そういうのを楽しめる人にとってはものすごく楽しめる空間でした。しんかい見学ツアーとか、もやってたみたい。あと、「時刊新聞」というリアルタイム配布物が、30分だがすんごく短い時間感覚で刷られてバラ巻かれてたりして、なんかテンションあがってました。
これぞ、究極の趣味の集りだよなぁと思うのです。参加費もありますし、年齢層はかなり高め。父さん母さんくらいの年から、たまに爺さん婆さんまでも。なにしろ、日本に来て、5日間参加する金ある人々が、のんびりゆったりするわけで夜はパーティやったり、カラオケ行ったりするみたいで、いつか、日本のオタク趣味もこんくらい余裕あるかんじに進化したらいいなぁと思うのでした。そのとき、金持ちかどうかはわかりませんが。比較するものがコミケですいませんが、あの生存環境の厳しさは異常過ぎる。ゆるーく、楽しく、趣味に浸れたらいいなーと思います。
初めてにして、おそらく最後のワールドSFコンは、ゆったり楽しめました。そう、まるで、「学園祭(文化部だけ)×財力」みたいなゴージャスかつピンポイント。楽しかったです。