『競馬の終わり』

ジャンル:競馬本&架空戦史という、趣味本の極みなので結果SF小説に。ifロシアに占領された未来日本、サイボーグ競馬開始前に行われる、最後の生身の馬のダービーを描いた小説。
SF小説は何よりも、夢とロマンのアイデアとシーンの美しさなので、小説としては若干物足りなくてもかなりどうでもいい(この点『皆勤の徒』は容赦ない日本語ですごかった)んで、この小説に書かれた文系男子学生が好きそうな合わせ技の夢はなかなかいいもんでした。夢っていっても妄想の仲間の夢。そこに価値がある。
作者は競馬好きなんだろうなあ。競馬好きな人が好むといいんだろうなあと思います。競馬がそんなに好きでなくても、競馬本っていうジャンル特有の、熱狂と、儚い馬の生き方と永続する血脈、それに携わる人間模様のドラマで陶酔してる風は読んでよかったです。趣味枠だよ!!