ラ・ラ・ランド

信じられないくらいリッチな映像とお話と歌で、ああこれは確かに映画館で見てよかったなーと思って、さすがアカデミー賞だもんなあー面白かったそろそろ終わるかなー・・・と思ったら、口から手をつっこんで心臓鷲掴みにしてぶん投げるようなとんでもないこと始まって、動揺しました。
メタ的な反則ではない。不快な展開でもない。でもこんなにも心を掴んで揺さぶる…
それこそが夢だし、それこそが創造の源だし、だからこそ美しい創造物が生まれるだろう…この表現が何を言わんとしているか、よくわかる。というか感情移入しちゃうね。表現の方法それ自体もとても美しい。夢や創造の領域の栄光と、失うことの悲哀、人間の弱さと強さ、光と影の相関。夜、そしてまた朝が来るであろう…構成とか形式の美がすごい。

映画は映画であって、ストーリーを手際よく説明するための媒体じゃないし、よくミュージカルがDVD化するときみたいに歌ってるのを映像で見せるためのものでもない。これきっと舞台にもなると思うんですけど、映画が一番。
きっとなんでこんなにほめてるのか、見てたら私と同じで確かにスゴイけど…ってなると思うんですよ。でも最後まで。最後まで見たら。

見られてよかったなあ。ミュージカル好きなんで元々見たかったんだけど、ちょっと時間あいた瞬間に隣駅の映画館であと30分で上映ってわかったら飛び出して20分走って行きました。もーチケット買うのに並んでるし上映間に合うかハラハラでしたが、こんな衝動を受け止めて余りある素晴らしい映画でした。


あともうオタクの性で好きだからしょうがないんだけど、ウテナ劇場版の満天の星空の下薔薇園ダンスとか思い出してました。美しいシーンっていうイメージソースがどこかでなんかもう時空を超えてつながってました。
ちぐはぐして歪つでもここぞというシーンのためにイメージの暴走やクオリティ含めて所々ノーコントロールが許容されてたアニメーションだからこそ、と思っていた部分、狂的に美しい表現が、完璧にコントロール、デコレーションされて見てるの不思議な気持ちでした。『覚悟のススメ』のラストシーン(確執因縁のストーリーに残酷描写のバトル漫画、最後は宝塚レビューが始まって敵が全員生き返って問答無用の大団円で終わる)みたいな絶対の狂気というか。社会とか現実とかより、作者か読者かキャラクターかよくわからないけどものすごく個人的な夢がかなう狂気。