『戦争は女の顔をしていない』ヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著 三浦 みどり訳

日常の通勤で読むには重過ぎるので、年に何冊も読めない作者。読むとしばらく他の本読めなくなる。

WW2前後のソ連で従軍した女たちが語った事。著者によるインタビューの情景や背景説明の短い挿話と、膨大な語りで構成されている本。
事実がひとつひとつ、不幸や幸福の範疇、その範囲外、なんとも表現できないけれど思い出せる出来事、それら全てが誰かによって語られたことで、一冊の本でしかないのに手に持つと紙とインク以上に憂鬱と関心で重い。
中盤の、ポーランドの老婆たちの話、の群声を描いたパートが白眉。一人ひとりの話だけれどみな同じ話をする、という普遍と個人の環の表現が圧巻。
エピソードひとつ抜き書きするだけでも、ものすごく興味深い事柄なんだけど、この本で読んでこそ、という感じします。

最近初めてニューシネマパラダイス見たんだけど、これの主人公の父ちゃんっていうのがソ連に兵隊に行って拷問を尽くして憎まれたファシストなんだわ、と思いあたって、上も下もない環になったような感覚ありました。