2007-01-01から1年間の記事一覧

ぼくらのウォーゲーム

すごくおもしろいよー ネットの中の架空の生き物と、現実のリンクがすごくファンタジー且つリアルで、いい年こいてるけどわくわくしてしまいました。ウィンドウズ95あたりと、回線がISDNとかだったりする時代の空気感と、休み日に団地でこどもが日中ウロ…

『短編小説講義』筒井康隆

短編をいろいろまとめて、どのへんが短編らしく面白いのか講義。ここで、遅延させて、妨害して、読者の秩序欲求を満たしてるとか、どうして面白いのかに言葉を与えて説明してくれます。ディケンズとかホフマンとかトウェイン、名前だけで中身はあんまり読ん…

『贋世捨人』車谷長吉

すさまじいエゴと、自意識の過剰の半生記で、嫌悪感で気持ち悪いほどなんだけど、読むのが面白い。作家なればこそ、書いたものが面白いんだろうなーと思います。文章書ける人が書くと面白くなるんだよ! 書く才能あればこそこんな人生になってしまうわけで、…

陰火、老ハイデルベルヒ、ヴィヨンの妻、駆け込み訴え、グッドバイ

『駆け込み訴え』がジーザスクライストスーパースターみたいな話だというので、青空文庫で読んでみました。ああもう、本当にこんな話。 で、他にも短そうなやつを読んでみたのですが、嫌な気持ちになる度合が凄まじくてギブアップ。キツイわ・・・人間関係こ…

うる星やつら2 ビューティフルドリーマー

他の同監督の作品より、一番好きでした。娯楽ってよきかなよきかな。文化祭の前日が永遠に続くワクワクドキドキなノスタルジアと、その後のトンデモ展開と、SFっぽい理屈鬱屈あるのに、全部楽しい雰囲気で、好きでした。 なぜ、そこでガッツ星人のきぐるみが…

『肩甲骨は翼のなごり』デイヴィッド・アーモンド

邦題が素敵すぎて、覚えてたので読みました。もーなんてカッコイイ邦題なんだ。三年くらい前に、電車の中で誰かから聞いた気がしてて、唐突に思い出したので探しました。 おー。いー児童書だー 不思議な話でもあり、普通の成長する話の側面もあり、児童書独…

アインハンダー

〜買う前の日記 アインハンダー! もはや、昔過ぎて、何がどう好きだったのか忘れてますが、サントラがめでたく復刻されました。 映画でコケる前のノリにノってた時期のスクウェアが、PSで出したRPGじゃなくて、STG。飛行機を動かして、敵をピコピコ撃つアレ…

エリコの丘から

暑くなると思い出すことと言えば、学生のときの夏休みにやったカニグズバーグ評論。その翌年のウェストール評論より記憶が濃いです。青春だったということかなぁ。 「オルゴン」がわかんなくて、かなり悩んだ記憶があって、解決したかどうか忘れてるんですが…

原爆症認定患者第一号『「仲みどり」を探す旅』青木笙子

戦前の弾圧に揺れる演劇を俯瞰、移動劇団の公演先の仲みどりが歩いたヒロシマ、たどり着いた病院、仲みどりを覚えている人たち。様々なエピソードが仲みどりという女優を中心に並べられています。本としては全体的にもう一つ気もするんだけど、支える事実が…

『たんぽぽのお酒』ブラッドベリ

夏に読んでよかった。 夏の本。 夏そのもの。少年の人生の夏であり、老人に過ぎ去った夏であり、湯本香樹実の夏の庭のように、それが交錯する夏という季節を、圧倒的な形容詞の数々で夏そのものに。 形容詞が斬新で的確ですばらしすぎてびびる。詩的とよく呼…

『臍の緒は妙薬』河野多恵子

装丁がやたらエロ本みたいで期待しましたが、全く違いました。だいたい最初の短編は小学生だしよ。なんでこんな中身に偽り有なあやしい装丁なのー? 前に、油の乗り切っている時期の本を読みましたが、随分とマイルドに感じました。日常から微妙にスリップし…

『フェルマーの最終定理』サイモン・シン

自分には全くできない分野なので、妙に憧れてしまう「数学」ですが、これを読んで、数学、とても高度な数学っていうのは、本当に一部の限られた人間にしかわからないんだなぁーと妙に納得してました。やればみんなができるってものではなく、音楽みたいに、…

エラゴン

この直前に見た、アンジェラの灰がすごく重い映画だったので、テンション上げるためにバカそうなやつを。ドラゴンが飛んで、火吐けば、話も人間もどうでもいいよ。 しかし、よく出てくる邪悪な小物魔法使いの顔が、どっかで見た人だ、誰だ、誰なんだ、と気に…

アンジェラの灰

著者がアイルランドで過ごした暗い、貧しい、湿った、苦しい、子ども時代の思い出の映画。でも、不幸さだけではなく、ごく自然に垣間見せる暖かさがとてもよかったです。病院でそこはかとなく気にかけてくれる、一瞬しか登場しない掃除夫とか、一瞬の行きず…

乙女映画祭 MAY

超大好き。 ごろごろのたうちまわって見てました。映画に期待してるもの全部見せてくれました。 ストーリーはなかなか説明しづらいんですが、「アメリ ホラー映画」みたいな。もしくはダーク・デス・アメリ。女の子が、ぎこちなくてものすごくカワイイ。女優…

乙女映画祭 サーティーン

DQNでバカで中二病というよりは、不良。女の子が、痛々しい話二本目。こっちは美少女ばっか出てくるよ。いわゆる非行に走る青春(みもふたもない)っていうのを、教訓話とかじゃなくて、感情的に描いてて、痛い・・・少女って大変。日本の悪い青春も、こんな…

乙女映画祭 乙女の祈り

確かにすばらしい映画であります。 が、胸が詰まる・・・少女二人が、殺人事件を起こすまでの実際の事件を元にした映画。って言っても、なんていうか、陰惨で胸が詰まるだけじゃなくて、いろいろ、本当に胸が詰まる・・・。主役二人が全然可愛くない女の子な…

『死の地帯』ラインホルト・メスナー

死にかけた登山家100人に聞きましたー、みたいな本。滑落している時、何を考えたとか、遭難しかけてるときの幻覚とかを蒐集。ちょいスピリチュアルなのかなーと思ってたんですが、遭難しているときに「そばに家族がいるように感じる」「いないはずの友人がい…

「Vampire Hunter」 creatan create版と三年物語版

公演終了してかなり経ったので、感想。 大学生のときに、劇団creatan createのVampire Hunterにヤバいくらいハマって、春休みバイトで貯めた金を全部使って見られるだけ見てました。何でそんなにハマってたのか、今思い返してもどうしてそういうハマり方した…

サルバドル

エルサルバドルの内戦を取材するカメラマンの映画。はじまりは、イージーなアホ男二人で女に酒に薬で悪いバカンスし放題な空気が、あれよあれよと地獄のはじまりだフーハハーふざけてる場合ではなく、まじめな映画でした。当時の共産圏とか、アメリカの軍事…

アメリカンスプレンダー

オタクの人生。さえない事務仕事をするオタクと、ちょっとメンヘルなオタク女。日本におけるオタクの語られ方より、根暗だとか考え方とか、そういう種類の人間の傾向っていうかネガティブにとられるところも、ちゃんとオタクの特徴として書いてあるわけで面…

パプリカ

アニメ。そして大人向け。子どもが見たら、トラウマになること絶対な、不気味さ。悪夢パレードの九十九神みたいなガラクタは大人には見た事ある何かでも、子どもには未知のなんか嫌なものだろうなー。 夢をテーマに、ちょっと頭よさそな心理学っぽいところか…

ルネッサンス

フランスアニメで、白黒ノワ〜ル。何となくノワールって言ってしまいましたが、登場人物がみんな不機嫌で不幸でバッドエンドなので、ついついノワ〜ルって言ってしまいました。 映像は、確かに初体験な画でした。白黒で、妙な透明感のある目に痛い画面が、滑…

『売文生活』日垣隆

文章書いて、お金っていくらもらえるの?っていう金額を明かしてくれる本。明治から、現代の作家、ライターにいたるまでを通史で見せてくれるので、文章が商材として成り立っていることを遠くから眺められるわけですよ。 他のフリーの仕事と同じように、一人…

『死のクレバス』ジョー・シンプソン

落ちてたので拾って読んだ登山家の本。 遭難した二人組みの、信頼、疑心、葛藤、そして二人の関係なんか超えた、それぞれの死と生の戦いを、二人の当事者が書いてるという珍しい本。つまり、二人とも助かってるのですが、お互いに相手は自分のせいで死んだ&…

『リトル・ミス・サンシャイン』

ほのぼの家族のロードムービー。大嘘です。すんません。 薬中エロ爺さん、美人コンテストの予選を通過してしまったおでぶな妹、成功にこだわるパパ、ほのぼの家族を夢見てるママ、ニーチェに憧れてしゃべらない息子、そこに転がり込んでくる振られて自殺未遂…

『悪霊』ドストエフスキー

名前に迫力負けして、一生読むことはないと思ったのですが、まわりでなんか流行ってたので読みました。オバケとか出てきて納涼かもしれないし。しっかし超おもしろ。 長いだけあって、いろんな登場人物がいいこともわるいことも、みじめなこともよく見えるこ…

『プレイヤーピアノ』ヴォネガット

仕事がなくなるとどうなるかというSF。 働いて金と生きがいゲットという社会システムを壊した、ユートピアっぽい社会がうまくいかなくなっていく過程が、一人の人間の生き方をなぞって書かれます。 いろいろうまくいかない。エリートの腐り方とか、労働者の…

『ジェイルバード』ヴォネガット

SF文庫ですが、ウォーターゲート事件で失脚した架空の官僚を主人公にしてアメリカ経済を書いてて、SF(すこしふしぎな)のほうのSF。 年月を経たことの悲しみや寂しさを、軽妙になんでもないようにやり過ごしていくけど、それを自覚的にやるのはとてもやって…

『ガラパゴスの箱船』ヴォネガット

考えすぎで悩みすぎな鬱病っぽい人に超オススメ。目からウロコで論破されて、悩んでるとか限りなくどーでもよくなりました。 地球が滅亡したときに、たまたま生き残った男と女の話。超面白いから、あらすじは秘密だ! このあと、フーコーの振り子を読もうと…