2017-01-01から1年間の記事一覧

ローグ・ワン

あっ本当にスターウォーズだ。でも悲しい映画。 それでもスターウォーズだからワクワクしちゃうアンビバレンツ。 悲しさシリアスさは123の続きみたいなテイストも思い出されるので、悲しい話題は別枠の外伝映画に振ったのかなあ。

ウルフ・オブ・ウォースルトリート

ディカプリオおまえこの前1920年代の成り上がり@華麗なるギャツビーで観たぞっていう。なぜこんなに成り上がり役をやるのか…… ザ・アメリカっていう役どころなのかもしれません。 愉快痛快アメリカ成り上がりロクデナシ一代記のおもろうてやがてかなし。豪華…

プレシャス

肥満の黒人女性16歳、妊娠して学校は退学になり、帰宅すれば毒親の虐待… 悲惨な境遇のドラマが、娯楽調でもなくヒューマンドラマでもなく、まるでドキュメンタリーのように淡々と進むんだけど、強烈な現実逃避の夢幻のシーンが差し挟まれて、なんだか不思議…

『老人と子供の考古学』山田康弘

キャッチーなタイトルに釣られて。考古学の学問の定義から、著者専門の墓を中心とした考古学、その中から子供のケース、老人のケースのトピック立てなので、その話題をズバリピンポイントの本というよりも、考古学ってな〜に?の一般向けの啓蒙書といった体。…

『昆虫はすごい』丸山宗利

おもしろ博士本かと思って借りたけど、あんまり著者は前に出てこないで、面白昆虫ネタ満載の本。写真のキャプションに「著者を吸血しているところ」みたいなのは十分面白いけど。 急ぎ足の広く浅く紹介に止まれど、今のトレンドな話で子供の時にはまだ知らて…

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

放蕩爺さんテネンバウムズさんが、破産したり晩年寂しくなってきて、捨てたわが子の元天才児たちと元妻の家に舞い戻る話。自分の境遇的に、今不幸な大人の子供時代が描かれるといたたまれないんだけど、なんだかいい映画だったなあ。 テンポと画面づくりが独…

『善意と悪意の英文学史 語り手は読者をどのように愛してきたか』阿部公彦

読んでると、すごい頭よくなったような気がしてくる。本という媒体の誕生時、小説というジャンルが成立する以前のベストセラーだった「マナー本」「礼節についての本」の流れを汲んで、小説は作者が読者に教えるという関係性を内在していること、その作者の…

『怒れ! 憤れ!』ステファン・エセル 村井 章子訳

檄文。短い本なんだけど凝った装丁でおしゃれ。元フランスのWW2の闘士にして、ナチの処刑を逃れ国連の人権宣言の起草に携わり…という現在90才のアジテート。日本人の怒り方と違う。恨みつらみの回復じゃなくて、正義を求める怒り。それは絶対に正しい、とい…

女囚701号 さそり

オッパイにリンチに陰湿なイジメに復讐にレズに見たい物全部詰めで、映画館から出てきたらそりゃ満足して出てきたことでしょう。素晴らしい美人の女優さんなのにこれやるんだもんすごい。復讐ターンの幽鬼のような黒い女のキャラがカッコよすぎて、細かいこ…

ミニミニ大作戦

邦題が酷過ぎる超面白いスタイリッシュカーアクション映画。オッシャレ〜。ミニクーペがとんでもないところを走り回るアクションシーンが凄まじい映像で、それ見るだけで満足するくらい。残虐なシーンもエロ過ぎるシーンも無くて、カッチリしたクレバーな構…

蒲田行進曲

すごかった。私自分がわりと情動の振れ幅大きいと思ってるんだけど、もしかして私は正常でおとなしい常識人なのでは……? と、思ってしまうほど激烈な人間関係。昭和怖すぎる。こんなメンタリティの人間が、今の社会構成している人間の中にいるとか嘘だといっ…

『幼い子のいる暮らし』毛利 子来

読者にやさしい。いいこというなあ。これが1982年、それより前世代の60s’の松田道雄読んだ後だったから、よその育児面白がりはあんまりなかったです。っていうか1回読んだことあるような。そんくらいサラッと読む感じ。

『私は赤ちゃん』松田 道雄

赤ちゃんの皮をかぶった産科医のしゃべくり芸、1960年の朝日新聞の連載をまとめた本。前読んだ『私は二歳』が読み物として面白かったので、こっちも読みたいなと。全ページに岩崎ちひろの挿絵が入っててすごくいい。記載自体は、この時代はこれやってたんだ…

ワンピース映画 オマツリ男爵と秘密の島

10年くらい前のワンピース映画。ということは、自分が小学生のくらいのときのナウシカみたいな位置。年とるってこわすぎんな。当時からサブカル界隈に妙に持ち上げられてた映画ったので、実はほぼリアルタイムでレンタルで見たんだけど、そのときはもちっと…

古代の子ども Webで読める論文とかメモ

子どもがいると子どもの話題が楽しいし、そして私は歴史の授業は最初のほうだけがんばるタイプだったので、古代の子どもについて読むのが楽しい。 原始のプリミティブな無原罪のイメージに重ねて、子どもの話題だなんて、いい気分。 ●先史時代の子ども http:…

『剣客商売』池波正太郎

1巻が置いてあったので読みました。3/4くらい。強い・金持ち・モテのチート主人公に降りかかる単発ラッキースケベイベントと、ゆるふわロリ女子と男装女剣士の三角関係で引っ張る引っ張る、1話完結の軽いミステリ… おいっ、これラノベじゃねえか!!! って…

『エロマンガ島の三人』長嶋有

中編と断片のような短編の短編集。文芸誌ではなくエンタメ系に連載された小説。ゲーム誌の企画でエロマンガ島でエロマンガを読むグラビアを、桃鉄にエロマンガ島が出てくるからスポンサーに… って実録じゃねーか!と思ったら、ファミ通のバカタール加藤氏の…

庶民感覚

ライターが無知なのか、偏向記事なのか、浅慮でバズりたいだけなのか。。 「私は絵で身をたてるわ」夫と子どもがいても自立を目指した1918年生まれの在宅ワーママちひろ http://www.huffingtonpost.jp/reiko-hidani/home-working-mother_b_15333960.html 岩…

『猛スピードで母は/サイドカーに犬』長嶋 有

芥川賞受賞作。巧い。これは確かに誰か別の人の話だという距離と、読み進むと形造られる確かな共感とが独特で巧い。なのに、踏み込んでこないかんじが心地よい。この初期作品2編はどちらも受け身の状況に置かれた主人公であるんだけど、もどかしさは不思議に…

ハーメルンのバイオリン弾き 徒然

アラサーの人間が子ども時代に慣れ親しんだ漫画が復刊や続編などでリバイバルした数年前、ごたごたしながらひっそり消えて行った漫画がございます… アニメ化にゲーム化、長く月刊少年ガンガンの看板作品だった『ハーメルンのバイオリン弾き』著:渡辺道明。…

『幼い子の文学』瀬田 貞二

講演をまとめた物。ものすごく充実してて、言葉遊び、わらべうた、詩、物語、と幼い子の言葉の楽しみを体系的にまとめているので、すごい熱気の講演だったんだろうなあと思います。 何がいいって、やっぱりダメなもんはここがダメっていうこともしゃべるのが…

『「戦艦大和」の最期、それから 吉田満の戦後史 』千早 耿一郎

『「戦艦大和」の最期』が一次資料なんで、受容史も読みたいなと適当にタイトルで選びました。ごく近い人間によるインサイダーからの伝記にして、同じく帰還兵として当事者である著者の色も濃い。 復員した銀行員による社内の文芸同人誌の話とか、企業文化の…

トルーマン大統領は原爆投下をどのような論理で正当化したか サンドラ・サッチャー教授に聞く

記録でも、被害者の言葉でもなく、違う切り口での原爆についての話。ロジカルで無慈悲にも感じるけど、でも、そのロジカルさの上での正しさを追及する。判断するための情報や条件は適切か、良心のマヒはなかったか… 倫理に独立した価値基準があって、認識の…

広島テレビの碑

この季節に合わせて自社制作ドキュメンタリーを無料公開してる。 1969年版の碑が、めちゃくちゃすごい。2015年版見たことないんで見ようかな。 http://www.htv.jp/hiroshima/index2.html

『戦艦大和ノ最期』吉田満

講談社学芸文庫版。おそらく、その変遷と、受容をちょっとテキストから離れて見ることがいい年こいた立場には必要なんだろなって思うほど、一次資料。純粋に、テキストとしてものすごいテキスト。 個人の極限状態と、大きな状況の転回が重なって、この短い紙…

『流れる星は生きている』藤原てい

実は夫が結構な有名人で、お前かよ!!とお前呼ばわりしてしまうほど、子供3人を連れて引き揚げの極限状態の逃避行をする作者に感情移入していました。この、一番苦しいときに頼れなかった夫とは、その後離婚はしなかったとしても一生ダメだったろうなあと思…

『妊娠小説』斎藤 美奈子

妊娠が出てくる日本の文芸作品をだいたい「地位も名誉も(妻も)ある男が、年下の立場の弱い女を孕ませちゃって、とっても困って悩むんだけど、後でこんなことあったなあと安全に回想する」と喝破して抱腹絶倒。『舞姫』と『新生』のことなんだけど。その後…

『おもかげ復元師』笹原留似子

お涙ちょうだい枠で、ストレス解消に絶対泣けそうな本を読んでしまうタチの悪い悪癖が私にはあるのですが、ものすごい泣く。エンバーミング、死化粧をする納棺師のエッセイ。半分は東日本大震災の話で、悲しくないはずがない…。事実は小説よりも奇なりという…

『蜜のあわれ』室生犀星

最近青空文庫に入ったそうで話題だったので。 オシャレ。金魚さんとおじさまのオシャレなエロ会話。女に化けたり金魚生態らしさも誇示するある擬人化萌えする金魚。金魚とか異種間の生物的特性に萌えるのって、つまりは女の生物ぶりへの萌え。金魚が超エロく…

『イマジネーションの戦争 「戦争×文学 コレクション」』

「おれはミサイル」が読みたくて借りた、集英社の戦争アンソロジー20巻のうち1冊。『ゼロ年代SF傑作選』のほうにも入っててどっちでもよかったんだけど、こっちで。芥川龍之介から伊藤計画まで、空想の戦争。 世相ナイズした御伽話の芥川龍之介、戦争を知る…