ガタカ

遺伝子が職業も将来も決定するほんの少し先の未来、として20年前に夢見られたSF。だから、ネットとか個人デバイスが一切出てこない! 未来描いてるのに昔という逆説。 劣悪とされた遺伝子を持っているために下層階級として生きざるをえない男が、事故で下半…

キャロル

1950年代を舞台にした映画。昔の名作映画のような画面が、今の時代だからこその洗練された演出で表現されて、本当に美しい。作り物感っていうことじゃなくて、説明が難しいんですが、シーンに流れる時間が昔の映画みたいなのに、今の構成とか演出だなって思…

フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ

ネット配信のドラマシリーズ。入っててよかった尼プライム。ほんとこれだけで今年は元とったな感。1話見た後、1週間くらい間があいちゃったんですが、その間ぐるぐるずっと回ってしまいました。子供の時に見た世にも奇妙な物語、のようにストーリーにショッ…

『河北新報のいちばん長い日』河北新報社

新聞屋という事件で飯食う職業の、それだけではない、もっと何か。人間の営みとして意味を見いだそうという葛藤。 大震災の後、結構文化人とかヒヨったりして文筆業のもろさみたいなの感じたことあったんですが、胸まで水が浸かって死にかけた記者が必死に出…

『知への賛歌』ソル・フアナ 旦 敬介訳

17世紀末セルバンテス後のスペイン文学最大の作家にして修道女。結婚せず一生好きな勉強して生きてくために、戦略的に尼になったそう。今までぜんぜん知らなかったのですけど、メキシコの紙幣になってるくらい有名作家だそうで。当時のメジャージャンルの難…

『堤清二 罪と業 最後の「告白」』児玉 博

西武百貨店からセゾングループ、リプロポートを通じて一つの文化を作った経済人にして、作家辻井喬の顔を持つ堤清二へインタビューしたルポ。文春掲載。表紙家族写真の目もと涼しい少年の、晩年へのインタビュー。 政治に経済に文壇にアメリカに右翼に共産主…

日本の絵本100年の歩み  ちひろ美術館

人生で再び目にしている『いないいないばあ』など名作絵本たち、そんな有名絵本の原画がまとまって展示されるなかなかない機会なので、駆け足で行ってきました。一人につき3点くらい。見たことある絵本の原画なんで、どうやって描いてるのか興味津々。時間が…

『ナインストーリーズ』J・D・サリンジャー 柴田元幸訳

大人と子供が会話をする9つの短編。どちらも確固とした人格を持ち、子供は大人が薄まった未完成な存在ではないし、大人は子供のまま続くピュアさを垣間見せるけれど子供ではない… 現代読者である私は、暴力とロリコン野郎の心配を捨てきれずに読み終わってし…

生頼範義展

行ってきました。すごいよこれ。数が多いよ。しかも絵がデカイのから小さいのまで、超リッチよ。生涯3千点以上も商業作品遺した方で、加えてオリジナルの大作も誰に発注されるでもなく書き続けたという… 私ハイペリオンの表紙絵が単行本も文庫も大大好きなん…

『アート オブ JC ライエンデッカー』

1920年代、アメリカの黄金時代のイラストレーター。 ニューイヤーベイビーとか、赤と白のサンタクロースとかフラッパーの絵とか、とにかくアメリカ。 複製しやすい絵を描くこと、誤解なくイメージを届けること、とか、自分の功績についてイラストレーターで…

『日本の名随筆 祈』石牟礼道子編

公害の認識が始まって、戦争も過去ではない、そんな1970年ころの文章を石牟礼道子が「祈り」をテーマに編んだっていう興味深い本でした。昭和の祈り。 軽〜いネアカなエッセイから、祈りが現われた物について民俗学的な観点や、戦争、故人への祈り、自分のキ…

Tears & flowアレンジ3曲リリースの今年は2018年!

Tears & flowが宇宙一カッコいいゲーム音楽なのはこの大宇宙の真理なんですけど、1998年のリリースから20年経たこの2018年に、なんとアレンジが3曲もCDリリースされました。 しかも企画盤一つに3アレンジ入ってるとかいうわけわかんなさで、嬉しすぎてちょっ…

JAPAN Game Music Festival II:Re 2018/1/13(土)1日目 

第一回(レポ)がとってもとっても素晴らしいイベントだったものの、2回目が突然に謎の中止となって早5年… 5年ぶりの2回目開催。世の中こんなことあるなんて。 2017年夏から告知されていたのを全く知らず、ZUNTATAのライブ告知されたタイミングでチケット買…

『われらの子ども:米国における機会格差の拡大』ロバート・D・パットナム, 柴内 康文

アメリカのとある町の著者が子どもだった時の友達の人生と、今その町に住んでいる子どもの人生、豊富な事例の人生見本市で、町の姿の変遷と、時代、そこで生きる人生っていう下世話な興味も満たされながらの、膨大なデータで雄弁に時代を説明してくれる。 俯…

『とある魔術の電脳戦機(とあるまじゅつのバーチャロン)』鎌池和馬

本カテゴリにするか、ゲームカテゴリにするか結構迷うラノベ。 ビデオゲームを描いた小説が硬軟問わず大好きで結構読んでるんですけど、その中でも経緯が特殊かつ、丁寧に作られた良作と思います。・『とある魔術の〜:アニメ化した大ヒットラノベ 2004年〜…

『という思想 』 原武史

ハーンの出雲つながりで、新年なんでめでたそうなやつを。 出雲の話って、知ってるようで知らない伊勢と天皇をトップにしたメジャー神道がいかに成立したかという裏面でもあって、結構いろんなことが明治発。誰が作ったか個人名まで特定できちゃう。出雲につ…

『心: 個人完訳 小泉八雲コレクション』小泉 八雲, 平川 祐弘

新年最初はいい本が読みたい・・・。 とてもセンチメンタルな童話のような読み物と、ハーンの東洋文化論が一冊に『心』と題されて刊行されたもの。岩波文庫で読んだことあるんだけど、娯楽に近いような領域で読み返したい気持ちある。あの感情の揺れ動きをも…

『ハイ・ライズ』J・G・バラード, 村上 博基訳

最近映画になってたみたい… タワーマンション内で階級闘争(物理)からの人間性むきだし狂気の混沌群像劇なので、映画としては絶対面白くないわけはない。見たいなあ。 バラードは、WW2上海租界で日本軍の捕虜になってからの支配階級からアジア人に見下げさ…

『サンタクロースっているんでしょうか?』 フランシス・チャーチ 中村 妙子訳

アメリカの8歳の女の子の質問に、ニューヨーク・サン新聞の記者が応えた社説を絵本にしたもの。 アメリカの善いところの全部だなあ… アメリカが創造したプレゼントをたっぷりと持った物量によって幸福をもたらす神、でっぷり太った赤い服のサンタクロースが…

サンタクロース延命計画

これを新聞風かなんかにレイアウトしてORADANO明朝フォントで印刷して、メディバンで加工してボロボロにして隠しておいて古びさせたところで、サンタの存在を疑い出したところでおもむろに古文書としてとりだす。 親は計画的。 サンタクロウス 師走の巷間を…

『家族 日本の名随筆 (別巻42)』 久世 光彦

中勘助の蜜蜂が読みたくて借りたんだけど、テーマ家族でしょっぱなから「桜桃」なあたりもうね… ちょっと昔の人が気になったりしてその著作検索すると結構な頻度で出てくるシリーズなんだけど、こんな何百冊も出てたとは知りませんでした。これすごくいい本…

『もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら まこと新たなる希望なり』イアン・ドースチャー  河合 祥一郎訳

スターウォーズだ… どこをどう見てもSW… そしてどう見てもシェイクスピア… 台本形式だし、挿絵も舞台をそれっぽい版画風で描いてて大真面目。爆笑の後に困惑する程度に出来がよいです。よくできてるなあ。面白かった。ときどき、宇宙を股にかける系のものす…

『完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」』佐野 眞一

子供の時にはあった、スーパー ダイエーがどうやってできたかと、その終わり。すでにある巨大な常識みたいなシステムが、ほんの短時間で出来上がって、それがどれだけの変節を経たのか、興味深かったです。時間。 文化人類学や社会学の範疇では、と作中イン…

『女子プロレスラー小畑千代――闘う女の戦後史』秋山 訓子

昭和戦後史で、男の格闘技の本はどこか社会の裏面のドロドロとした暗さがあるのに、これはスカっと明るく爽やか大冒険でものすごく面白かったです。いい本だったなあ。最近読んでた昭和モノがいろいろ重なってまさに戦後史の読み応え。著者がピュアなまでに…

『深沢七郎コレクション 流』 (ちくま文庫) 深沢七郎

楢山節考は入ってないけど、代表作の小説。 「東北の神武たち」は、今村昌平監督映画に1エピソードとして入ってたやつだあ〜これがあんな映像になってたのかと。 ものすごい作品で、なんつうか日本の話なのに現代社会から隔絶した地の自然描写とエキゾチズム…

おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄) (光文社古典新訳文庫) ホイットマン 飯野 友幸

薄い入門版の抄訳で光文社古典新訳文庫ありがとーう! 岩波文庫だと分厚いの3冊なんで、あの岩波のギチッとした小さい字の版組で分厚いの3冊だと今読む元気なくてさ。しかし、やたらめったらスーパー元気がでまくるすごい本だ。 詩+その解説で、最後に原文…

[本]『春にして君を離れ』アガサ・クリスティー 中村 妙子訳

選んで読んだわけじゃなくて、図書館の払い下げにあって、しかも今手元に読む本が全然ないので読んだら、なんかジャストタイミンな話… イギリスの老婦人が、旅行で足止めされたときに余りにも何にもやることがなくて、ついつい人生の回想をする話。何も問題…

[本]『すべての美しい馬』コーマック マッカーシー 黒原 敏行訳

文体が特徴的で、50年代アメリカというほぼ現代でカウボーイしてその100年前みたいなウェスタン冒険するにはっていう、すでに現実離れしてることを、会話のカギカッコ無し、時々句点がなくなる語りみたいな文体が何重にも現実から隔離してくれて、ものすごい…

『アラバマ物語』ハーパー・リー, 菊池 重三郎

一番言いたいことは、すごく読み易かった面白い本だということです。名作名作と聞くんで、岩波文庫かなと思ってたんですが、予想外に暮しの手帖社刊。つまり、大衆向けのとても読み易い小説で、小難しいところは無い面白い60年代ベストセラー。時代感じるこ…

『別冊映画秘宝ブレードランナー究極読本&近未来SF映画の世界』

迷ってたんだけど買っちゃった… ISBNついてる商業誌なのに同人誌。こういう作者の労力を無視して、紙代にもなってなさそうな本は本当に金払う価値がある。ブレードランナーしか載ってないというか好きな人の執念と妄想しか載ってない。 映画本編のバリエーシ…